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青果物 品質保持・栽培・流通
管理マニュアル

日本青果物輸出促進協議会
日本青果物輸出促進協議会 Japan Fruit and Vegetables Export Promotion Council
基礎知識【果物の生理】

果物の鮮度保持の基本

長谷川 美典 農産物流通技術研究会 会長

果物は収穫後も生きており、生きものとして品質保持をしなければならない。高い温度で殺菌できないので、保存環境が悪いとカビが生え、大量腐敗につながることになる。流通行程のどこかの段階で、一度果物の品質低下が発生すれば、その後の流通条件をいかにうまくコントロールしても、元の品質には戻らない。したがって、終始一貫した品質・鮮度保持システムを遂行することが重要となる。
収穫前の取り扱いも重要で、収穫前に病気に感染していたものが、貯蔵期間が長くなるにしたがい老化し病気が発病する場合も多い。果物の種類によっては低温貯蔵で障害を起こすものがあるので注意が必要である。

中略

まとめ

1. 果物は収穫後も生きている

果物は収穫後も生きており、生きものとして品質保持をしなければならない。高い温度で殺菌できない。したがって、保存環境が悪いとすぐにカビが生え、大量腐敗につながることになる。流通行程のどこかの段階で、一度果物の品質低下が発生すれば、その後の流通条件をいかにうまくコントロールしても、元の品質には戻らない。したがって、終始一貫した品質・鮮度保持システムを遂行することが重要となる。

2. いろんな成分は収穫後減少する

果物は、糖、酸、アミノ酸、デンプン、ビタミン、香気成分など、多くの成分を含んでおり、収穫後には、徐々に減少していく。

3. エチレン制御の重要性

エチレンは植物の老化の引き金となる重要な働きを持っている。1ppmの量が存在していれば、果物に軟化やボケ、果皮障害などの鮮度保持にマイナスの現象を引き起こす。外部環境からの侵入のみならず、果物自身からの発生による影響が大きいので、エチレンの除去は鮮度保持上、極めて重要である。エチレン制御は非常に複雑で、品目・品種、収穫の時期、栽培条件など、諸条件を良く理解した上で果物を取り扱わないと大失敗をすることになる。近年、1-MCPと言うエチレン生成阻害剤が利用され、鮮度保持に効果を発揮している。

4. 予冷・低温貯蔵は基本技術

低温保持には、コールドチェーン(収穫してから食べるまで一貫して低温を保つシステム)と言う環境作りが重要である。これが言われたのは1965年であるが、未だに実現されていない。果物は収穫したら、すぐに冷やすのが、品質保持には効果的である。

5. 目減り防止は鮮度保持

果物を貯蔵していると、重量が減少し、目減りする。果物の目減りは鮮度の低下を一目で観測できる。水分減少には、果物の品目・品種、形、大きさ、品温、水分含量、置かれた環境の温湿度や風速などが影響を及ぼす。一方、果皮や果肉に含まれる糖などの成分が水分蒸散を抑制する役割を果たしている。また、フィルム包装は、水分蒸散を防止し鮮度保持効果が高い。

6. 取り扱いは丁寧に

もも、いちごなどでは流通中の押し傷や擦り傷によって、市場へ出てから腐敗が多く発生する。フルーツキャップやプラスチックトレイが有効である。果物の大きさとキャップやトレイの穴の大きさとがうまく合っていないと、かえって、傷を生むことになってしまう。緩衝材は適正に使うことが重要である。

7. 品質保持は収穫前から始まっている

収穫した後、果物の品質成分や鮮度は減る一方である。したがって、収穫前の色んな条件が品質保持に及ぼす大きな要因となる。品種、収穫時期、取り扱いが大きな影響を与える。また、雨の日の収穫はしない、収穫後は丁寧な取り扱い、収穫は温度の低い時、収穫後は直ちに冷蔵庫へ入れるなどを守ることは基本的なことである。流通技術はしっかりできていても、流通させる果物がだめなら、うまく出荷することはできない。

参考文献

  1. 農産物流通技術研究会編、Q&A講座 何でも分かる青果物流通、1999年10月、㈱養賢堂
  2. 長谷川美典・真子正史・宮崎丈史・吉岡博人編、果実の鮮度保持マニュアル、2000年11月、㈱流通システム研究センター
  3. 井村増雄・椎名武夫・白石克己・長谷川美典編、新版 農産物の輸送と貯蔵の実用マニュアル、2004年12月、㈱流通システム研究センター

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