国産の青果物やその加工品の輸出に必要な事業や、輸出に関する情報を収集し、提供しています。

青果物 品質保持・栽培・流通
管理マニュアル

日本青果物輸出促進協議会
日本青果物輸出促進協議会 Japan Fruit and Vegetables Export Promotion Council
栽培・流通管理マニュアル

かき編

和歌山県 農林水産部

山﨑 安津 農研機構 果樹茶業研究部門

かきの貯蔵性は収穫時期によって大きく左右される。
収穫後あるいは脱渋後に一定期間の貯蔵や輸送を行う場合は、やや未熟な硬い果実のほうが望ましい。
収穫後あるいは脱渋後の果実の軟化のしやすさは、品種や熟度によって大きく異なるが、軟化の進行を抑えることができれば、果実の商品性の保持に極めて有効である。かきの鮮度を保つ方法としては、低温、水分蒸散抑制、MA包装、エチレン生合成・作用阻害などが挙げられる。
かき果実の貯蔵では低温障害を発生させない温度条件を設定することが重要であるが、品種や果実の熟度、気象条件によっても感受性が異なる。
日持ち性を向上させる脱渋技術として、低濃度ドライアイス個包装冷蔵脱渋法、貼り付け式樹上脱渋を紹介している。

マニュアル 和歌山県 農林水産部

中略

解説山﨑 安津 農研機構 果樹茶業研究部門

中略

5. 輸出試験の事例

1)香港

和歌山県で収穫した「刀根早生」を1000ppbの1-MCP暴露処理と炭酸ガス処理を同時に行い、一般の段ボール箱で保存した。1-MCP無処理果実は防湿段ボール箱で保存した。陸路で神戸港まで輸送し、冷蔵コンテナにより輸送した。4 日後に香港に到着した時には、軟化の発生はみられなかった。到着7日後で、防湿段ボール箱区で軟化が10%ほど発生したが、1-MCP処理区は1%以下と軟化が顕著に抑制された。防湿段ボール箱は、現地到着後の保存温度の上昇で軟化が発生したが、1-MCPは、常温→低温→常温と温度が変動しても、果実軟化の発生を抑制し、商品化率の向上効果があると考えられた(播磨ら、2008)。

2)シンガポール

和歌山県産「中谷早生」を1000ppbの1-MCP暴露処理と炭酸ガス処理を同時処理し、MA機能を有した大袋包装で保存した。陸路で神戸港まで常温輸送し、0℃設定のリーファーコンテナにより輸送した。海上輸送には9日を要した。シンガポール到着時、軟化果実の発生はなく、その後、室温下に置いても到着6日後の軟化率は13.3%に抑制され、現地の評価も高かった(古田ら、2020)。

3)北米地域

2017年に日本から米国への輸出が可能となり、米国や豪州などの遠方諸外国への販路拡大が進められている。米国や豪州への海上輸送は3週間以上を要するため、長距離海上輸送を可能とする品質保持技術を確立する必要がある。そこで、古田ら(2021)は、北米地域への輸出に向けた軟化抑制技術を検討し、海上輸送の最適温度は0℃、「平核無」では1-MCP処理なしでも、輸送後10日後も商品性を維持できること、「刀根早生」は、防湿段ボール箱と1-MCP処理の併用またはポリエチレン袋による個包装で輸送後の商品性を7日以上維持できることを明らかにした。

参考文献

  1. 秋元稔万・間苧谷徹・井伊谷雄平,1981,エチレンの抑制によるカキ富有の軟化防止,園学要旨,昭56春,454-455
  2. Blankenship,S.M. and J. M. Dole,2003,1-methylcycropropene: a review. Postharvest Biol. Technol. 28,1-25
  3. 福岡県農林業総合試験場,2020,果樹1)カキ,輸出向け農産物の品質保持の手引き~海外輸出向け品目の品質特性情報~

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